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北欧ヴィンテージ食器・アート雑貨のお店 Normart

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ヴィンテージが教えてくれるデンマークのはなし

2026.9.25

A LITTLE DENMARK, THROUGH VINTAGE
ヴィンテージが教えてくれるデンマークのはなし

普段ノルマートで取り扱っている北欧ヴィンテージ。様々なアイテムがありますが、その中には企業のノベルティや、何かの記念に製作されたアイテムもたくさんあります。

今回はそのようなアイテムにフォーカスして、当時のデンマークの企業や街について学びとなるお話ができればいいなと思います。

ヴィンテージ品なので既に生産されていないものがほとんど。ノベルティや販促、記念品などは実用的な食器と比べても生産年数が短い物が多いと思います。

そのようなアイテムを見つけるとつい買い付けてしまうのですが、当時のデンマークを知ることができる貴重な資料でもあると言えます。

今回も実際にいくつか取り扱う中で、素敵なエピソードを知れたこともたくさんありました。そういうことを考えたり、想いに耽ったりする時間が心地良いなと思います。

コーヒー片手に、少しお付き合いいただけると嬉しいです。

ADVERTISING IN CERAMIC
企業が特注した、広告のためのうつわ

まず紹介したいのは、企業の広告のために作られたうつわたち。

ひとつは、デンマークのビールブランドCarlsberg(カールスバーグ)の広告用に作られたアッシュトレイです。

黄土色のマットな釉薬に、中央にはCarlsbergのロゴである王冠と「C」の文字、縁には月桂樹のレリーフがぐるりと施されています。裏には「ESLAU DANMARK」の刻印があり、1944年創業のデンマークの窯元Eslau(エスラウ)で作られたことが分かります。

当時のビールの広告に、こんなに手の込んだ陶器が使われていたというのは驚きです。

もうひとつは、こちらも広告用に作られたグレーのトレイ。裏には「A(ロゴ)/DENMARK/A/S DANSK GASBETON」と刻印されていて、デンマークの気泡コンクリート(ガスベトン)メーカー、A/S Dansk Gasbetonの広告用に作られたものです。

Aluminiaはセメントやコンクリート関連の企業向けにこうした広告用のうつわを手がけていた例が他にもあり、こちらもその流れで作られたものと考えられています。

企業のロゴや名前が描かれたこれらのうつわからは、当時の広告文化や、その企業の存在感を感じ取ることができます。

GIFTS FROM THE CITY
街や公的機関からの、記念のうつわ

街や公的機関の記念に作られたアイテムも、ヴィンテージならではの面白さがあります。

ひとつは、デンマーク・ユトランド半島にある都市Vejle(ヴァイレ)の記念マグカップ。

Royal Copenhagen(ロイヤルコペンハーゲン)のTenera(テネラ)シリーズで作られていて、表面にはヴァイレ市の紋章、緑の丘に立つ2本の菩提樹と、その間を流れる川(Vejle Å)にかかる赤い橋がデザインされています。

このモチーフは1300年代の市の印章にまで遡るもので、今も使われ続けているのだそう。底には「1327・VEJLE・1977」の文字。1327年はヴァイレが市場町としての特権を得た年、1977年はその650年を記念して作られたマグカップだと考えられます。

「Fremstillet I Begraenset Antal(限定生産品)」の表記もあり、量産品とはちがう特別感があります。

もうひとつは、コペンハーゲンの消防署(Københavns Brandvæsen)の記念マグカップ。正面には消防署のロゴが入っていて、裏印から1969年以降に作られたことが分かります。

コペンハーゲンの消防組織は1687年に王立の消防隊として発足し、1870年8月1日に市営化されました。このマグカップは、その市営化からおよそ100年の節目に作られたものかもしれません。

どちらもニルス・トーソンが手がけていた時代のRoyal Copenhagenファイアンス部門で作られたもので、街や公的機関の節目をこんなふうに陶器で記念する文化があったのだと知ることができました。

TWO ANIMALS, TWO STORIES
動物に託された、ふたつの物語

最後に紹介したいのは、動物をモチーフにした、それぞれに物語のあるアイテムです。

ひとつは、Poul Willumsen A/S(ポール・ヴィルムセン)というデンマークのメーカーが手がけたペンギンの貯金箱。背中には「Pondus」の文字があります。

Pondusは1960年代にコペンハーゲン動物園で実際に暮らしていた王様ペンギンで、1966年に写真家Ivar Myrhøjが赤いマフラーを巻かせた姿を絵本にしたことで一躍人気者になりました。

それにヒントを得たデンマークの銀行Landmandsbanken(のちの合併でDanske Bankへ)が、彫刻家Johannes Hansenのデザインでこの貯金箱を1968年に導入したところ、初年度だけで100万個も配られたのだそう。

実在のPondusは1970年に亡くなりましたが、今もコペンハーゲン動物園とフレデリシアの街に銅像が残っています。丸みのあるフォルムがなんとも愛らしいアイテムです。

もうひとつは、Royal Copenhagenのペリカンのオブジェ。デザイナーはJeanne Grut(イェーネ・グルート)で、1969年にデンマークの献血ボランティア団体Danmarks Frivillige Bloddonorerのために特別にデザインされ、1977年からは100回献血を達成した人への贈呈品として配られていたそうです。

底面には「DANMARKS FRIVILLIGE BLODDONORER(デンマークのボランティア献血者たち)」と刻まれています。

ペリカンは中世ヨーロッパの伝承で「自分の胸を傷つけ、ヒナに血を与える」と語られてきた鳥で、その伝承から北欧では献血のシンボルとされてきました。献血活動への感謝の気持ちが、モチーフにも込められているのが素敵だなと思います。

実在した人気者のペンギンの姿や、献血への感謝の気持ちなど、動物のかたちを借りて伝えられてきた物語にも触れることができました。

企業の広告、街や公的機関の記念、そして動物に託された物語——同じヴィンテージでも、こうして背景を知ると、それぞれが当時のデンマークを映す小さな資料のように感じられます。

これからも素敵なストーリーのあるアイテムに出会えたら、また皆さんにご紹介できればと思います。


この記事を書いた人:Yuki Hasegawa (Normartオーナー)

北欧ヴィンテージ食器やアート雑貨を扱う Normart(ノルマート)を運営。
「すべての人に美しさを」をミッションに、北欧ヴィンテージが持つ美しいデザインやストーリーを通して、 自分らしく、心地よく過ごせる暮らしをお届けしています。

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