コンテンツに進む

北欧ヴィンテージ食器・アート雑貨のお店 Normart

LINEお友達追加で5%OFFクーポンプレゼント

釉薬とかたちに惹かれて、スウェーデンの三つの窯

2026.10.9

THREE SWEDISH KILNS
釉薬とかたちに惹かれて、スウェーデンの三つの窯

最近、スウェーデンの陶磁器の作品が手元に集まってきました。グスタフスベリやロールストランドのフラワーベース、ホガナスの小さなカメや貝のオブジェ。

どのアイテムにも釉薬の深みと、かたちの細やかさについ見入ってしまいます。

今回はこの三つの窯の作品とデザイナーの経歴を見ながら、スウェーデンの陶磁器の美しさについて書いていきます。

HÖGANÄS KERAMIK
ホガナス、手のひらの小さな器

ホガナスは、スウェーデン南部の町。炭鉱と豊かな粘土に恵まれたこの土地で、丈夫なストーンウェアをつくってきたのが、ホガナス・ケラミックという窯元です。

この窯で活躍した陶芸家に、ジョン・アンダーソン(1899-1969)がいます。十代前半で窯に入り、のちにはアートディレクターまで務めた人物。手のひらにのるほど花器や鳥、貝のオブジェで知られ、作品はスウェーデンの国立美術館にも収蔵されています。

ミニチュアだからといって、釉薬に手抜きはありません。手に取って角度を変えてみると、同じ色の中にも濃淡があって、表情が少しずつ変わっていく。この小ささでちゃんと奥行きがあるところが僕が惹かれる理由です。

まだ撮影が終わっていませんが、ミニチュアのカメや貝のオブジェも手元にあります。この子たちはまた近日、オンラインストアでもご紹介しますね。

ホガナスの窯で育った陶芸家には、もうひとり、ベルント・フリーベリがいます。ジョン・アンダーソンと同じ1899年に生まれ、同じように十代前半でホガナスの窯に入った人です。

先日、彼の作品が初めてオンラインストアに入荷しました。セレクタというシリーズのベースで、釉薬の美しさと、かたちの良さを併せ持っています。

このセレクタは、フリーベリがグスタフスベリで手がけた唯一のシリーズアイテムでもあります。

まん丸に張り出した胴に、ラッパ状に広がる短い首が特徴的なかたち。やや青みのある緑色の釉薬に、白っぽい斑点が全体に広がっていて、マットな質感です。

首のつけ根や口の内側には茶色みのある釉薬が溜まっていて、単色ではない複雑なグラデーションがスウェーデンの陶芸らしさを感じさせます。

GUSTAVSBERG AND RÖRSTRAND
グスタフスベリとロールストランド

フリーベリがグスタフスベリに移ったのは、1934年のことです。

ストックホルム近郊にあるこの名窯では、1917年からヴィルヘルム・コーゲがアートディレクターを務めていて、フリーベリはそのもとでろくろ職人として働き始めました。のちには同社のスタジオで、ろくろ成形と釉薬づくりに打ち込んでいます。

同じ1930年代、スウェーデンの別の窯でも、ストーンウェアの新しいシリーズが登場しました。ロールストランドのグンナー・ニールンドが手がけた、シャモットというシリーズです。

シャモットとは、一度焼いた粘土を砕いて、生の粘土に混ぜた素地のこと。焼き上がりの表面に、独特の凹凸が出るのが特徴です。

そのシャモットのフラワーベースも今回初めて入荷しました。胴には波を描くような細かい筋。光沢のある明るいターコイズの釉薬で、凹んだ部分には濃い青が溜まっています。

ロールストランドとニールンドについては、以前のコラム「Gunnar NylundとCarl-Harry Stålhane、ロールストランドの黄金期」に書きましたので、よければそちらもご覧ください。

アンダーソンのミニチュア、フリーベリのセレクタ、そしてニールンドのシャモット。メーカーもデザイナーも異なりますが、どれもスウェーデンを代表するデザイナーのストーンウェアの作品です。

色の奥にもう一色ある。釉薬の深みとかたちの細やかさが、僕がこの二つの窯の作品に感じる魅力です。

BEAUTY FOR ALL
美しさを、すべての人に

釉薬もかたちも、決して派手ではない。だからこそ、毎日の暮らしになじむのだと思います。三つの窯には、日々の暮らしで使われる器を数多くつくってきた、という共通点もあります。

この「暮らしの中の美しさ」という考え方は、スウェーデンで早くから語られていました。エレン・ケイは1899年に発表した論考『美しさをすべての人に』で、美しさは一部の裕福な人だけのものではなく、すべての人にあるものだと訴えています。

エレン・ケイについては、以前の「スウェーデン・テキスタイル展を訪れて」でも触れているので、よければあわせてご覧ください。

1917年には、グスタフスベリのアートディレクターに就いたコーゲが、「労働者のセット」と呼ばれる日常使いの食器セットを手がけました。このセットは、同じ年にスウェーデン工芸協会が開いたホーム展にも出品されています。

日常の器を、美しく、たくさんの人へ届ける。そうした思いは、その後の窯の仕事にもつながっていったのではないか、と僕は思っています。

ノルマートがミッションに掲げる「すべての人に美しさを」は、エレン・ケイの言葉をいただいたものです。

北欧のヴィンテージアイテムを通して、その美しさを今の暮らしにも届けていきたい。この三つの窯の作品を見ていて、改めてそう思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事で紹介した作品

ノルマートで扱っているスウェーデンの作品です。


この記事を書いた人:Yuki Hasegawa (Normartオーナー)

北欧ヴィンテージ食器やアート雑貨を扱う Normart(ノルマート)を運営。
「すべての人に美しさを」をミッションに、北欧ヴィンテージが持つ美しいデザインやストーリーを通して、 自分らしく、心地よく過ごせる暮らしをお届けしています。

LINE公式アカウント

メールマガジン登録

新着アイテムやコラムの更新情報をメールでお届けします