

2026.8.21
TEXTILES OF SWEDEN, NAGOYA
スウェーデン・テキスタイル展を訪れて
8月に入り、名古屋市美術館で開催中の「スウェーデン・テキスタイル ―暮らしと自然に息づく北欧デザイン(Textiles of Sweden)」展に足を運んできました。
ちょうど家を建てたということもあり、テキスタイルの使い方や暮らしへの取り入れ方に興味を持っていたので、ヒントを得るために行ってみたいと思っていた展覧会でした。
北欧のテキスタイルと言えばフィンランドのマリメッコが有名ですよね。北欧の代名詞とも言える大胆な柄が多い印象ですが、スウェーデンのテキスタイルと言われると、正直パッとブランドなど出てきませんでした。
今回はテキスタイル展に行って感じたことを備忘録も含めて話してみたいと思います。

A ROOM WRAPPED IN PATTERN 色と模様に包まれる、圧倒的な空間
会場に入ってまず圧倒されたのが、天井近くまで届く大きくテキスタイルが張り巡らされた展示でした。渦を巻くような幾何学模様や、鎖のように連なる柄が、生地そのものが空間をつくっているかのように広がっています。
同じパターンなのに人の手が掛かった雰囲気があり、どこかレトロなテキスタイル。これだけ大きく飾られているとかなりインパクトがあります。
我が家の話になりますが、天井は傾斜天井を採用し、高いところだと4メートル近くあります。天井にはシナベニアのパネルを使っていてそこにダウンライトを埋め込んでいるのですが、そのダウンライトが思っていたより眩しい。
元々明るい空間が苦手ということもあり、調光できるようにすればよかったと少し後悔していました。
天井上に大きく張り巡らされているテキスタイルを見たとき、天井にテキスタイルを飾ることで、ダウンライトの光を和らげる方法を思いつきました。
テキスタイルの使い方のヒントを少しだけ得たような気がします。なんとなくいい雰囲気になりそうです。

PATTERNS, COLOR, AND HEMSLÖJD 柄・色の豊かさと、ヘムスロイド
会場に並んでいたのは、幾何学的な渦巻きや格子模様から、炎のようにうねる曲線、花や植物をモチーフにしたものまで、実にさまざまな柄でした。
赤・青・黄・オレンジといった色使いも大胆で、日本で人気な北欧らしさを感じる一方で、スウェーデンのテキスタイルと一言でまとめることはできないほど、色使いやデザインに幅があるようにも感じました。
こうした生地の背景には、スウェーデンに根付く「ヘムスロイド(Hemslöjd)」という言葉があります。直訳すると「家のための手仕事」。1899年、オイゲン王子を初代会長に設立された団体Svensk Hemslöjd(スウェーデン手工芸協会)。
テキスタイル作家リッリ・ツィッケルマン(Lilli Zickerman)が運営の中心を担い、各地の伝統的な手仕事を残していこうという運動を広げていきました。その活動は今も90近くの地域団体、1万3千人以上の会員によって受け継がれているそうです。
展示されていた生地の多くは工業的に量産されたテキスタイルですが、その根底には「暮らしの道具を、もっと美しく」という同じ思いが流れているように感じました。
実はこの1899年という年には、もうひとつ気になる出来事がありました。スウェーデンの思想家エレン・ケイが『Skönhet för alla(すべての人に美を)』という論考を発表したのも、同じ1899年のことです。
美しさは一部の裕福な人だけのものではなく、すべての人が享受する権利がある——そんな考えをまとめたこの論考は、当時の住まいや暮らしの美意識に大きな影響を与えたと言われています。
ノルマートのミッションである「すべての人に美しさを」という言葉は、まさにエレン・ケイが残した言葉そのものです。少し前に『美しさをすべての人に』という一冊の本が出版されました。エレン・ケイが1899年に発表した論考を、池上貴之氏の翻訳で日本語に紹介したものです。
そこには、日々の暮らしの中にある美しさや、何が醜いものなのかが、明確な言葉で綴られていました。
今回の展覧会を訪れて、ノルマートの普段大切にしているミッションを目の当たりにした感覚になりました。スウェーデンという国の歴史の中に昔から息づいてきた美しさをあらためて感じる機会になったと思います。
暮らしに美しいものを取り入れられること。テキスタイルを見ていて、今後のノルマートの運営のヒントを得ることができたと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
