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北欧ヴィンテージ食器・雑貨のお店 Normart

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小さなグラスへの偏愛

2025.9.22

Small Beautiful Glasses小さくて美しいグラスたち

ノルマートでは、主にガラスや陶磁器のヴィンテージ品を買い付けています。ステンレスや木製品などもありますが、全体の約八割はガラスか陶磁器です。

色々なアイテムに出会うたびに思うのは、「小さいものって、どうしてこんなに可愛いのだろう」ということ。大は小を兼ねると言いますが、小さいからこそ感じられる美しさや、手に収まる愛おしさがあります。

北欧に限らず、海外には小さなグラスがたくさんあります。ショットグラス、リキュールグラス、コニャックグラス——多くはお酒のためにデザインされたものですが、北欧ヴィンテージにもそのサイズの名品が豊富です。

日本の家庭では出番が少ないかもしれませんが、お酒好きの方のコレクションとしても長く愛されてきました。

実用を支える確かな形と、思わず飾っておきたくなる美しさ。その両方を備えているのは、やはり北欧のデザインらしさだと感じます。

今回は、私がこれまで出会ってきた「小さくて美しいグラスたち」をご紹介します。

Holmegaard Stubスタブグラス

当店で定番になっているHolmegaard(ホルムガード)のStub(スタブ)グラス。ノルマートをオープンした初期から取り扱っていて、これまでたくさんのお客様にお届けしてきました。

過度な装飾を持たず、シンプルで美しい北欧の代名詞であるデザイン。

初めてStubをデンマークで見つけたときはクリアのカクテルボウルという高さの低いタイプの物でした。それからスモーク色も展開されていたことを知り、このうっすらとした北欧法の曇り空のようなカラーに惹かれたのを覚えています。

クリアは2019年頃にいくつかのサイズも復刻されましたが、今ではそれも廃盤。スモーク色は復刻されなかったので、今でもヴィンテージのみでしか手に入らないアイテムです。

可愛い手のひらサイズ

当店で扱っているStubグラスで最も小さいサイズは「ショットグラス」のサイズ。形は大きめのワイングラスと同じようにステムがあり、もちろんスタッキングが可能です。

ショットグラスは全体のバランスもよく、つい集めたくなるようなサイズ感。ショットグラスとしてはもちろん、はちみつやメープルシロップを入れたり、調味料を入れて食器に添えたりしても使いやすそうです。

ショットグラスに続き、リキュールグラス、コニャックグラスと少しずつサイズが大きくなっていきますが、どのサイズも手のひらに収まるサイズでとっても可愛らしいです。

二つ三つとスタッキングして重なっている姿も美しく、グラスとしてはありそうでないサイズ感ですので、使い方によっては唯一無二のアイテムになるかもしれません。

Kosta Boda Blue liqueur glass青いリキュールグラス

美しいブルーが印象的なリキュールグラス。スウェーデンの名門 Kosta Boda(コスタ・ボダ)で、Bertil Vallien(バーティル・ヴァリーン)が手掛けたグラスです。

すっきりとしたプロポーションに、ステム(脚)のさりげない装飾が付いています。小ぶりながらも高いデザインで、手に取るたびに“よく出来ている”と感じさせます。

箇所によってガラスの厚みがわずかに異なるため、口元は光を柔らかく透かしてうっすらとターコイズ寄りの青に、ステムは深いダークブルーに見えます。

下から上へ続くグラデーションは、角度や太陽光が差し込む時間帯で表情を変え、何度見ても飽きないアイテムです。

リキュールグラス、どう使う?

私はお酒を飲みませんが、学生時代にバーで働いていたこともあり、グラスの役割には少し親しみがあります。

それでも“リキュールグラスの出番”は、ぱっとすぐに思いつきませんでした。調べてみると、海外では食前酒や食後酒を少量で楽しむための定番のグラスとして活躍しているようです。

日本でもフレンチなどのコース料理には使われているかもしれませんね。美食家ではないので、知ってらっしゃる方は是非教えてください。

家庭では少しハードルが高く感じるかもしれませんが、実はもっと気軽に使えます。

食後に梅酒やゆず酒、果実酒を少量楽しむにはちょうど良いように思います。ショットグラスだと少量過ぎるのでリキュールがピッタリなサイズ感です。

また、香りを楽しむにも向いていて、焼酎や泡盛のストレートやコーヒーに少し香りがあるリキュールを混ぜて楽しんだり。色々と調べてみると思っているように幅広い用途で使えそうです。

その他にもジュレやムースのデザイナーをひと盛りしたり、サラダにかけるオイルやビネガーを入れてクリーマー代わりにしたり、一輪挿しとしてミニフラワーベースとしても使えます。

使い道を少しだけ工夫し日常で使えるタイミングが増えることで、日々の暮らしが楽しくなりそうです。

Boda Umber liqueur glass琥珀色のリキュールグラス

同じリキュールグラスでも、エリック・ホグランが手がけた琥珀色のグラスには、また異なる魅力があります。

先述のバーティル・ヴァリーンによる、すっきりとしたフォルムのグラスとは対照的に、ホグランのものはどこか「ぽってり」とした柔らかなフォルム。

ステム部分に装飾はないものの、彼の作品に多く見られる気泡がグラス全体に散りばめられています。

この気泡の大きさや入り方こそ、このグラス最大の特徴かもしれません。

最近はホグランの作品を多く買い付けているのですが、手元に届くたびに「今回はどんな表情を見せてくれるのだろう」と、毎回楽しみにしています。

一般的にデザインと聞くと、フォルム(形)やパターン(模様)に目が向きがちですが、ガラスという素材においては、気泡もまた立派なデザイン要素。

ただ水を注いだだけでも、まるで炭酸水のようにシュワシュワとした雰囲気が現れ、気泡が確かにこの作品の美しさを表現しているのだと実感させてくれます。

愛らしいフォルム

ホグランのガラス作品は、基本的に厚みがあり、ぽってりとした愛らしい形が特徴です。

一方で、Stubグラスや青いリキュールグラスのように、すっきりと薄く仕上げられた北欧のガラスも多くあります。

あの繊細な薄さがあるからこそ、グレーやブルーの色合いが一層美しく映えると感じていますし、実際に「ガラスは薄い方が口当たりが良い」とも言われます。

けれどホグランのグラスには、その薄さとは異なるもうひとつの「美しさ」があります。

それは、むしろこの厚みと丸みを帯びたフォルムに宿る、やさしさや素朴さといった魅力なのです。

どちらも異なる表情を持っていますが、共通しているのは「美しい」と感じさせる力と、そして日常に溶け込む実用性。まさに、北欧デザインの本質が息づいています。

まだまだ、こうした小さくて愛らしいグラスには、たくさんの魅力が詰まっています。

実際、あえて小さなグラスを探していらっしゃる方も多く、私もこれから、自分が美しいと感じたグラスたちを皆様にお届けしたいと思っています。

イベントなどでお客様とお話ししていても、用途としては「お酒をゆっくり楽しむときに」とおっしゃる方が多く、ほんの少しを丁寧に味わうために、グラスのサイズにこだわる——

そんなお話を聞くたびに、「きっと素敵な暮らしをされているのだろうな」と思わずにはいられません。

インテリアのコーディネートにおいても、大きな家具にばかり意識が向いて、細部までこだわる人はどのくらいいるのでしょうか。後回しにしているという方も多い気がします。

けれど、20世紀を代表するモダニズム建築の巨匠ミース・ファンデル・ローエが提唱していた「神は細部に宿る」という言葉があるように、小さく繊細なディティールこそが、その空間全体の印象を決める大切な要素になります。

小さいからこそ、美しい。

ここまで「小さなグラスへの偏愛」についてお話ししてきましたが、もしどこか一つでも共感していただける部分があったなら、それはとても嬉しいことです。

小さなグラス、ぜひ皆様も一度手に取って愛らしさや美しさを感じてみて下さいね。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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この記事を書いた人:Yuki Hasegawa (Normartオーナー)

北欧ヴィンテージ食器やアート雑貨を扱う Normart(ノルマート)を運営。
「すべての人に美しさを」をミッションに、北欧ヴィンテージが持つ美しいデザインやストーリーを通して、 自分らしく、心地よく過ごせる暮らしをお届けしています。