
2025.2.15
-チャリティイベントでの収穫-
先日、とあるチャリティイベントに行ってきました。僕の実家がある岐阜県多治見市のレンタルスペースで開催されていて、能登半島地震から約1年、売上の一部を寄付するとのことで少しでも力になれればと。
地元の作家さんやクリエイターさんからの私物が並べられていて感性の高い方たちの私物ということもありお宝発見の予感をしながら見ていると何とGefle、Mantilj(マンティリ)のコーヒーカップソーサーを発見。
もちろんこのMantiljも誰かの私物であるので、なかなか渋いものを持っている方もいるんだなぁと見知らぬ元所有者に感謝しつつ連れて帰ることにしました。
そしてなかなかの破格スペシャルプライス。もしかしたら北欧の蚤の市で買い付けるよりもリーズナブルプライスだったかも。


-UpsalaとGefle-
自身の備忘録としてもGefleについて書き留めておきます。
Gefle(ゲフレ)は1910年にスウェーデンで設立された陶磁器メーカー。主に日常使いの食器を製造し、装飾品なども手掛けていました。
北欧の他のブランドと同じようにGefleにもたくさんのシリーズがありますが、北欧を代表するブランドであるArabiaやRoyal copenhagenのように幅広く一般的に知られているブランドではなく、日本ではややマイナーブランドのイメージ。
デザインはMantiljのようにプリントのものが多く、スウェーデンの伝統的な模様や風景からインスピレーションを受けたデザインが多いように感じます。どこかレトロで現代の陶磁器のように「完璧なプリント」ではなく、プリントロスや色の濃淡やムラが良い味を出しています。
作品から1960年から1970年代の当時のスウェーデンの雰囲気を感じることができます。
スウェーデンの陶磁器ブランドといえばリサ・ラーソンの作品を製造しているGustavsbergや現在もノーベル賞授与式の晩餐会で製品が使われているRorstrandなど多くのブランドがあります。
個人的なイメージですが、GustavsbergやRorstrandが表立って有名なブランドだと挙げるとすると、Gefleはやはりマイナーブランドだと感じます。でもスウェーデン人やスウェーデンに携わっている関係者からは「Gefle」の名前が高確率で出てくるんです。懐かしい、と言う方もいます。
Gefleの製品にはデザイナー、年代ともに不詳の作品も多くありこのMantiljも誰がいつ頃デザインしたのか資料には残っていません。ブランドというよりかは当時普及品としてデザインされていたのかもしれませんね。
逆に言うと知られていない、分かっていないことが多い、というのがロマンを感じさせるのかも知れません。僕もそのうちの1人です。
そんなGefleですが1940年代後半、当時ライバル企業だったスウェーデン陶磁器メーカー、Upsala Ekebyに買収されます。買収はされますが、「Gefle」ブランドは残したまましばらくは製造を続けます。
買収された頃のGefleの製品には「Gefle」と「Upsala」の両刻印がスタンプされているのでお持ちの方はひっくり返して見てみてください。
少し前にUpsalaのヴィンテージアイテムを数点買い付けましたが、土の良さを感じる作品が多く、著名なデザイナーも当時は活躍していました。
1980年代になるとスウェーデン国内の陶磁器市場が衰退し多くの工場が閉鎖。Upsala自体も市場競争激化の影響を受け閉鎖することになり、それに合わせてGefleも閉鎖されてしまいました。
こうして50年近くたった今、GefleやUpsalaの製品は少しずつ見かける機会が少なくなっているようにも感じます。


-コーヒーカップとティーカップ-
今回手に入れたのはMantiljはコーヒーカップで、一般的に想像するコーヒーカップに比べやや小ぶりなサイズ感です。この形状で他のデザイナーが手掛けた絵柄のものもあります。
北欧ヴィンテージにはこのサイズはよく見かけますが、たっぷりコーヒーを飲む、という方にはちょっと物足りないサイズかも知れません。ただデザイン的にはこのサイズ感が可愛いように思います。
写真はまた別シリーズですが、Mantiljにも写真と同じ横幅が広いティーカップのタイプもあります。ArabiaのSモデルのような形状ですが、生地の薄さはGefleのカップならではかと。容量が増えながらもこの生地の薄さや取っ手の可愛さはそのままとなっています。
同じデザインでも形状が変わるとまた違った雰囲気に見えるのも、コレクションをしていて面白いなぁと感じます。
GefleもUpsalaもまだまだ日本で知られているのは一部のシリーズのみだと思います。
人とちょっとちがう北欧ヴィンテージ食器を探している方には、ひととあまり被らず個性が出せるかもしれませんね。